紙を油や油脂成分が多く含まれる食品の包装に使用する場合、
食品の油が包装用紙に浸透しないように耐油性を有する紙や板紙が使用されます。
従来の耐油性を有する紙では、紙に耐油性を付与する手段としてフッ素系耐油剤が使用されていましたが、
有機フッ素化合物は健康や環境への懸念があることから代替品への置き換えが求められるケースがでてきています。
しかし、フッ素系耐油剤と同等の耐油性を得る事は難しく、
またアクリル系などの非フッ素系耐油剤を用いた場合、紙の通気性が低下して、蒸気を逃がしにくくなり、
フライドポテトなどの揚げ物を包装した際に食感が悪化するという課題があります。
新たに開発した耐油コート剤であるSEIKOAT®-G T-EF201(以下、T-EF201と略す)は非フッ素系でありながら、
紙の通気性を高く維持可能であるという特徴を有しています。
さらにT-EF201は、高バイオマス率を有し、生分解性であるという特徴も併せ持っており、より環境に配慮した耐油コート剤です。
項目 | 性状 |
---|---|
不揮発分 | 30wt% |
粘度 | 10mPa・s |
pH | 8.0 |
バイオマス率(*1) | 95%以上 |
生分解度(絶対値)(*2) | 70%以上 |
(*1)固形分中に占めるバイオマス素材の割合
(*2) JIS K6950:2000 「プラスチック–水系培養液中の好気的究極生分解度の求め方
-閉鎖呼吸計を用いる酸素消費量の測定による方法:に準拠。
当社測定値(参考値)使用活性汚泥:下水活性汚泥 温度 25℃
耐サラダ油試験(*4) | 透気度(*5) | |
---|---|---|
未塗工原紙 | × | 17秒 |
T-EF201 塗工紙(*3) |
○ | 32秒 |
耐油紙 A(フッ素系) |
○ | 230秒 |
耐油紙 A(アクリル系) | ○ | 9,999秒以上 |
(*3)塗工量 :5.3g/㎥(固形換算)
塗工条件:片艶クラフト(坪量50g/m2)を原紙として使用
塗工方法:ワイヤーバー
乾燥条件:120℃-30秒-熱風乾燥
(*4 )耐サラダ油試験:試験片にサラダ油を滴下し、24時間経過後の浸透具合を観察。
判定基準:○ 染み込みがない × 裏抜けあり
(*5)透気度:JIS P8117 紙及び板紙−透気度及び透気抵抗度試験方法に準拠
・T-EF201はは塗工→乾燥の工程で紙内部へ拡散し、それにより紙の端面からの耐油性も発揮します。